わさっぷ。TOMATOだYO。
さて前回の【日本語ラップの歴史】vol.1ではいとうせいこう氏を始めとした輸入されはじめたラップ文化なんかについて少し触れてみた。
あえて”伝説”と呼ばせてもらうけれど、ここが日本語ラップの歴史において大きな転換期になった事はマチガイナイ!
そのくらい後々にまで影響を与えたのが、1996年の7月7日。
日比谷野外音楽堂で開催された初の大型HIPHOP野外イベントである”さんぴんCAMP”だ。
それまでに”日本語ラップ”(当時はJ-RAPは蔑称だった)としてメジャーに上がっていったのはEAST END×YURIやスチャダラパー
だけどさんぴんCAMPでは、提唱者であるECDを始めとしたいわゆるハードコアな側面を持った日本語ラップこそが”本物”だという主張をしているメンツが一斉に集まった。
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さんぴんCAMPがどうして伝説なのか?
引用元:https://auctions.yahoo.co.jp
当時のJ-RAPと呼ばれていた種類の作品は、いわゆるポップ寄りにして面白おかしく表現している曲がほとんどだった。
だけど、そこで『そうじゃねーだろ!』っていう意見をぶつけてきたのがさんぴんCAMPに参加したアーティスト達や、提唱者であるECD達だったんだね。
いわゆる”リアルなラップ”の逆襲が始まった訳。
メジャー市場ではポップな文化として広まりつつあった”J-RAP”という認識に
当時から既にアングラでは絶大な影響力のあったBUDDHA BRANDやカミナリカゾク、キングギドラやMURO、RHYMESTERとまさしく日本語ラップ界の重鎮達やグループがこのイベントに集結した。
今、2017年においてゲットースタイルなんかがしっかり生きていたり、バトルという文化が残っているのはこのさんぴんCAMPの大成功が1つの分かれ道だったと言っても過言じゃない。
強烈なメッセージ性と裏付けるスタイル
これは個人的な意見だけど、このさんぴんCAMPで何よりも突出していたのはBUDDHA BRANDの曲、そしてフローだと思う。
引用元:https://www.amazon.co.jp
BUDDHA BRANDのメンバー
ちなみに知らない人向けに紹介するとBUDDHA BRANDは3MC1DJのHIPHOPグループ。
リーダーはDEV LARGE(デヴラージ)
彼は残念ながら2015年5月4日に逝去してしまった。
でも彼のフローやスタイルは当時から本当に並ぶものがいないくらいのレベルだったと思う。
その脇を固めていたMCはCQ(キエるマキュウ1998~)とNIPPS(ニップス)だ。
そしてDJは今や知らない人はいないであろうDJ MASTERKEY(マスターキー)だった。
1990年結成。
当時、マスターキーがNYで出会ったデヴラージとニップスと組んだ【うわさのチャンネル】が前身となっていて、彼らが帰国した1995年は奇しくもこのさんぴんCAMPでいわゆるDISされる側の立場に立ったスチャダラ達が大ヒットを飛ばした年だったんだ。
一方で彼らが残したシングル作品は実はたった4枚しかない。
それでも今尚、数多くのRESPECTを受けているのは彼らが持ち帰ったスタイルが本当にカッコ良かったからだとしか言いようがない。
日本デビュー曲となった【人間発電所】は今も最高峰のクラシックとして語られる。
病んでる Buddha comin’ at ya
天下一 Iller
遠い国からはるばる殺しにキタキタ出典:ヴァース1 CQパート
粋な男のおでまし
イルで1番いかすMC that’s me me
イカれている イっちゃってる 異ノーマル
普通じゃない 並み外れてる!出典:ヴァース2 DEV LARGE
いつもFresh F.R.E.S.H.
産地直送フロウ and I 輸送
My shit fly like ステルスのジェット出典:ヴァース3 NIPPS
You need a hard to play this game
気持ちがレイムじゃ
モノホンプレイヤーにになれねえ出典:人間発電所HOOK
歌詞引用元:人間発電所より
これらのヴァースとフックは今でも突き刺さるものがある。
【You need a hard to play this game】が示す通り、HIPHOPは難しい
そして気持ちがレイム(不完全)じゃ本物にはなれないと強烈にメッセージを送っている。
もちろんジブさん達のキングギドラやRHYMESTERなんかも今聴いてもカッコイイ曲を披露していたんだけど、ジブさんはこの時代から言えば2017年じゃフローが変わってるし声も変わってるよね。
とまあ、ちょっとBUDDHA BRAND熱が強すぎて長くなってきたけど
そんなBUDDHA BRANDやジブさん達が参加したのがこれまたクラシックと言われる【証言】だね。
伝説のクラシック【証言】に参加したラッパー達
- 証言1. RINO
- 証言2. YOU THE ROCK★
- 証言3 G.K.MARYAN
- 証言4. ZEEBRA
- 証言5. TWIGY
- 証言6. GAMA
- 証言7. DEV LARGE
とまあオリジナル・バージョンではこの7名が挙げられる。
雷家族(中でもマイクロフォンペイジャー)を中心としたメンバーの中にジブさんにDEV LARGEという強烈な顔ぶれだった。
この曲は発売当時レコ屋に超長蛇の列を作るくらい人気だったからね。
そんな【証言】を含めて、いわゆるリアルな音楽としての日本語ラップは、このさんぴんCAMPで大きく昇華することになった。
こういったハードな日本語ラップが日本全体に認知されるのはまだ少しだけ先だけど、さんぴんCAMPによってアンダーグラウンド全体には『HIPHOPはPOPじゃねー!』っていうメッセージが充分に浸透したと言えるよね。
そしてさんぴんCAMPから3年後の1999年。
ドラゴンアッシュによってラップやHIPHOPは日本中に響き渡ることになる。
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